
「運動量と購入量の関係」から見えるもの
はじめまして。インテージの川口と申します。
本日は知るギャラリーの「コロナ禍における健康市場トレンド」という記事について紹介します。先週も同じ記事をご紹介していますが、今回はデータ活用という視点からお話したいと思います。
はじめに、簡単に自己紹介させてください。
私はこの知るギャラリーの運営メンバーの中では最もインテージ歴が長く、過去にはインテージが提供する消費者パネルや小売店パネルの分析やサービス開発などに関わっていました。今回ご紹介する内容は、このパネルデータならではの分析手法で、興味深い結果が得られた事例ではないかなと思っています。どのような点が“ならでは”なのか。手前味噌で恐縮ですが、最後までお読みいただけると嬉しいです。
「コロナ禍における健康市場トレンド」の記事では、先週の記事でご紹介した通り、コロナ禍を経て定着しそうな変化に注目し、それらが市場にどのような影響を与えているのかをデータで確認しました。
この記事の後半では、年間運動量と購入量に関係がありそうな食品・飲料カテゴリーをピックアップしています。

このデータからは、以下のような傾向が見て取れます。
男性:運動量が多いほど、“効率的な栄養摂取や健康への効果を訴求する”カテゴリーの消費が増える傾向がある。
女性: 運動量が多いほど、“自然に近い形で栄養のバランスを取れる”カテゴリーの消費が増える傾向がある。また、ウィスキーや焼酎といった糖質ゼロのお酒を選ぶ傾向がある。
運動量が増えるほどウィスキーや焼酎の購入量が如実に増えるという結果。理由を考えると納得ですが、興味深くないですか?(わたしが運動をしないビールユーザーだからかもしれませんが…)
ここからは、このデータの集計方法について解説します。集計には、インテージの消費者パネルデータ「SCI」を用いています。全国の約5万人の協力モニターから、毎日、買ったものの情報(レシートに記載されている情報すべて)を入力いただいたデータです。結果として、5万人がいつ、どこで、何を、いくつ、いくらで買ったかが継続的に捕捉できる、購買ログのデータベースとして活用できます。
このモニターに対し、別途ネットリサーチを行うことで、「運動量が多い」「在宅勤務をしている」「手料理へのこだわりが強い」といった様々な情報を買い物行動に紐づけて分析し、買い物行動の背景を理解することにつながるのです。
もちろん、ある程度のことはネットリサーチでもわかります。
ただし、日々の買い物行動、特に関与度の低い商品カテゴリーに関する買い物行動は、生活者の記憶からすぐ抜け落ちます。
上述の例の様に、“一定期間に購入した量”を“多数の商品カテゴリー間で比較”して捉えるといったことはできません。この分析方法で得られる発見は、網羅性の高いログデータに、モニターの付帯情報を紐づけることで得られる価値だと考えます。
これからも、知るギャラリーを通して、生活者ログ×付帯情報の分析を通して見えた生活者のいまの姿を発信していきたいと考えています。
楽しみにお待ちください。
コロナ禍における健康市場トレンド
https://gallery.intage.co.jp/healthcare-trend2022/
